サッカー的な散文【footballshoegazer’s blog】

鹿児島ユナイテッドファンです。東京でベンチャー企業を経営しています。サッカーについて、好き勝手に書こうと思います。

王国がもたらされる時

天上のお方さま、あなたの御名がどこまでも清められ、あなたの王国が私たちにもたらされますように。私たちの多くの罪をお許しください。私たちのささやかな歩みにあなたの祝福をお与え下さい。アーメン。

1Q84 Book3:青豆 / 村上春樹

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彼の地で、W杯が幕を開けた。

3-1でブラジルがクロアチアを下す。

王国は強かった。

睡魔をさっそうとアドレナリンが拭い去り、お祭りの興奮が日常を葬りさる。

本気のぶつかり合いはやっぱり面白い。

しばらく忘れていたけど、サッカーとはこういうものだった。

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さて、この試合の論点の一つは、間違いなく審判である。

開始前から注目を浴びた西村さん。

理想的な試合は、審判を意識しない試合だが、同時に審判も試合の一部である。

それを強烈に意識させられた試合だった。

前半、クロアチアの左、オリッチが走り回っていたサイドでのスローインをめぐり、スコラーリが2度猛抗議していた。

前半は、比較的ブラジルに不利な判定が多かった。

審判との心理戦。

プレーの一瞬一瞬で、見えない情報がめまぐるしく書き換えられていく。

ホームのブーイングや歓声も含め、独特の空気感が醸成され、エントロピーが満ちてゆき。

フレッジのあれは、誤審で、それはクロアチアにとっても西村さんにとっても不運であったが、しかたのないことのような気がする。

起こってしまったことは、起こってしまったことであり、過去形であり、それはもう誰にもどうにもできないことなのだ。

フレッジにはそこまで注目していなかったが、あの狡猾なプレーも含めて、素晴らしかった。

そして、クロアチア、美しい90年代のマンチェスターユナイテッドのような4-4-2。

初戦を落としたチームは突破できないというが、2位通過はかなりありえるのではないか。

刺激的で、黙示録的な開幕戦だった。